【WEB限定】 出雲崎町ふるさと納税 2024年は前年比4倍の6059万円に ファン多く獲得

 出雲崎町のふるさと納税額が2024年12月末で、前年比7倍の2027件、金額は4倍以上の6059万7千円と急成長した。若手職員によるプロジェクトチーム、地域おこし協力隊員、業務委託の民間企業、町内事業者のタッグが実を結び、24年度当初予算の2倍以上の成果を上げた。25年度の目標額は8千万円。将来的には、仙海直樹町長が掲げる23年度の10倍「1億5千万円」の達成を目指す。

 

 返礼品の内訳は、全体の約8割が「お米」を希望。寄付額別では「コシヒカリ5kg×6回 6万円」が174件・1044万円、件数別では「コシヒカリ5kg 1万円」が336件・336万円とトップだった。

 24年度は単品申し込み後、そのおいしさから定期便を追加する人が多く、これに比例して寄付単価も「5万円以上」が増えた。背景には全国的な「令和のコメ騒動」の影響があったと考えられるが、仙海直樹町長は「出雲崎の米の味を多くの人に知ってもらえた」と喜ぶ。米以外では人気の浜焼きのほか、冷凍イチゴ、シャインマスカットなどの新商品も後押し。企業版ふるさと納税には、3社から計160万円の寄付があった。

 納税額は新型コロナウイルス禍で増えた後、22・23年と連続減少。この要因について、出雲崎町ではリピーター獲得の施策、新たな返礼品追加がなかったことなどとし、23年5月、町役場内に若手17人によるプロジェクトを立ち上げた。7月には、新潟県三条市の三ツ目(澤正史社長)と業務委託契約を締結し、事業の推進を図った。ふるさと納税掲載サイトの拡充、効果的な情報発信・プロモーション、掲載方法見直しなどに取り組んだ。町内事業者にも積極的に働きかけ、9月の説明会には10者が参加し、このうち3者が新規参入した。

 これらにより24年度の登録返礼品数は前年比3倍の約370点に増えた。出雲崎町馬草の農家、山田裕さん(70)は、直播コシヒカリや、糖度抜群のシャインマスカットを初めて出品。マスカットはすぐに品切れし、すでに25年秋分の予約も入る。山田さんは「返礼品サイト掲載で、これだけ多くの人の目に触れるとは驚き。数量確保へのプレッシャーはあるが、この年齢でも町に貢献できている実感・喜びは大きい」と目を輝かせた。
 昨年の大きな成果に、三ツ目の澤正史社長(44)は「納税額はかなり伸びるとは思っていたが、予想以上。コメ騒動や商品画像差し替えなども奏功したが、町職員の地道な働きかけで町全体が一つになったことが大きい」と分析する。

 出雲崎町地域おこし協力隊員の北谷美穂さん(27)も「町職員や町内事業者が頑張った結果」とたたえる。北谷さんは、SNSでの情報発信のほか、返礼品に同封する手書きのお礼メッセージを担当。町の季節感や行事予定、お勧めの一品なども書き添え、関係人口増やリピーター作りに努めた。
 当初は1人で担っていたが、年末にかけて爆発的に件数が増えると、プロジェクトの町職員らも加勢した。北谷さんは「お礼状や封筒のデザイン変更など、細かな部分にも配慮しながら、協力隊員としてのミッションである〝まちのよろず屋〟としての仕事を全うしていきたい」と先を見た。

 出雲崎町は心をつなぎ、リピーターになってもらうことで25年以降の上積みを狙う。1月29日、事業者懇談会が出雲崎町米田の中央公民館で行われた。9者が出席し、町職員と一緒にワークショップでこれまでの業務を通じて感じた誇りや反省などを共有した。今後は、事業者の受注・発送業務の効率化・誤送防止のため、電子帳票発行システムの導入も検討する。仙海直樹町長は「海産物の加工品にも挑戦したい」とし、町のさらなる財源確保と産業活性化に強い意欲を示した。