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三条市の女性(21)が小学四年当時から9年2カ月間にわたって柏崎市内に監禁されていた事件で、略取、逮捕監禁致傷、窃盗の罪に問われた市内四谷1、無職・佐藤宣行被告(39)の判決公判が22日午後3時から新潟地裁で開かれ、榊五十雄裁判長は懲役14年(求刑懲役15年)の実刑判決を言い渡した。犯行に対し榊裁判長は被告の責任能力を認め、「思春期や青春という人の成長に最も大切な時期を奪い取り、結果は余りにも重大」と断罪した。
犯罪史上前例がないとされる長期の監禁、法が想定した枠をも超えるとされた今回の事件で検察側は「逮捕監禁致傷の最高刑の10年では、監禁時間の1日をほぼ1日の懲役刑で償うようなもので不当」と主張。被告が女性に着用させるため万引きした少額の窃盗を併合罪とし、さらに未決拘留期間も認めるべきではないという現行法で考えられる最高の懲役十五年を求刑した。これに対して裁判所がどのような判断を下すかが最大の争点だった。
また「被告は心神耗弱状態にあった」と弁護側が主張した被告の刑事責任能力、略取罪の時効のほか、被告が起訴事実をほぼ認めた中で唯一反論した「被害女性を抱きかかえて車のトランクに入れたかどうか」「ナイフなどの所持は少女をさらう目的のためで、計画性があったかどうか」などがポイントとなった。
判決理由で榊裁判長は計画性には触れなかったが、「抱きかかえたかどうか」については「被害女性の主張は具体的。被告の主張は変遷し、不自然」とした。また被告の刑事責任能力について「事件の発覚を恐れ、被害者を隠し続けた行為は合理的で、心神耗弱状態になかった」と判定。略取の時効についても弁護側の主張を退けた。
その上で榊裁判長は「か弱い女児を自己の意のままにしたいという欲望を抑えきれずに犯行に及び、身勝手極まりない」「犯行は大胆で粗暴、卑劣、陰湿、悪質極まりない」と言葉を並べ、起訴が見送られた被害者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)にも言及した。
一方、「窃盗は少額であっても、監禁の犯行を継続するために行い、常習的であり、犯行全体として判断すべきもの」と厳しく指摘し併合罪を適用したが、「窃盗の被害が弁償済みであり、量刑には自ずと限界がある」と説明。また被告は被告人なりの反省の態度を示していること、被告人に人格障害があって行動に影響を与えていること、被告人には帰りを待つ母親がいることなど「斟(しん)酌すべき諸事情がある」とし、未決拘留日数350日を算入して懲役14年が相当とした。
(2002/ 1/23)
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